平和エアテックのビジョンは、建設・設備工事業界の現状や未来と密接に絡み、その問題意識が前提となっています。このページでは、そのあたりの私たちの考え方について解説します。

業界の現状と課題

平和エアテックが属する設備工事業界は、建築設備の設計、施工、試運転・調整、修繕、改修等の各場面の最適化に第一線で取組み、安全に安心して健康的に生活するため、あるいは最適な就業、生産環境創造のために貢献しています。

この業界の技術者は、温度、湿度、気流、空気清浄度、圧力などの専門技術に加え、電気・計装、情報通信、ITなど幅広い分野における施工プロセスや装置・システムの構築、運転や管理に至る技術を有しており、私たちのライフサイクルに必要不可欠な業種であるとともに、今後の「更なる低炭素社会づくり」の先導的役割を担っています。

環境の変化

2008年秋のリーマン・ショック以降、建設投資の著しい減少により、建設業界の経営環境は厳しいものとなっていますが、既存施設の維持・修繕投資の割合は上昇傾向にあり、設備工事業者にあっては、多様な設備の新設工事から維持・修繕まで多岐にわたる事業展開が求められています。

2010年に省エネ法が改正され産業部門に加えて、大幅にエネルギー消費量が増加している業務・家庭部門での対策を強化し CO2 削減に向けた取り組みが進んでいます。

業界が抱えている課題

コスト管理

2008年秋のリーマン・ショック以降、コスト競争がさらに厳しくなっており、公共工事や民間工事の受注競争の激化により、作業方法や手法に工夫を凝らし短期間で利益を出すことが求められています。ただし、安易な値引きは単なるコストダウンにつながり、中長期的に自社の利益にならないことから避けるべきと考えています。

人材確保

経営者や社員の高齢化が進み、主力となる若年層と高齢層のアンバランス化が危惧されています。

メーカーのように設備投資をして省力化を図っていくことが難しい労働集約型のこの業界においては、若年労働者を確保し、技術・技能を承継していく必要がありますが、休日勤務、超勤等労働条件の問題や若年者の技術離れ、少子高齢化の影響もあり、この業界への入職する者は少なく、人材確保に苦労しているのが現状です。

人材確保にあたっては、技術者のレベル認定、入社後のキャリアパスの明確化、女性や高齢者の活躍の場など生き甲斐、働きがい、誇りの持てる魅力ある職場であることを今後も継続してアピールしていく必要があります。

人材育成

生活の質の向上が求められる中で、特に空調設備に対する需要は従来にも増して増加し、多様化するとともにこれに対応する高度な施工技術や保安技術への要求も一層強まってくることが予想されます。

また、このような中で設備工事業は快適な住環境づくりのため、そして、業務レベルの高度化と生産性向上を図るため、入社当初から段階的に技術面・対人面(コミュニケーション・ネゴシエーション能力等)・管理監督力・経営力等のスキルアップに係る教育訓練の構築が必要です。

設備工事業は、いわゆる労働集約型の産業であり、モノではなく、技能や技術の質こそが売りになる商品だといっても過言ではありません。その技術を伝承し、向上させる取組と仕組みがないならば、この商品の質の向上、つまり施工の品質の向上を望むことは難しく、よって、より効果の高い、利益に結びつく教育を実施しなければなりません。

他業種との連携・理解

設備工事の場合は、ひとつの物件に対して多種多様な設備工事が平行して実施されることが多いため、計画通り円滑に工事を進めるためには、工事の着工から竣工までの外注業者の工程計画を作成し管理する必要があります。

また、他の建設関連技術者等との技術・情報を交換することにより、自社では解決できない課題など共同で解決することが可能となることから、他業種・同業種企業同士の情報交換も必要でしょう。

平和エアテックのビジョン

設備工事業界が抱えている課題は、私たち平和エアテックの独自の活動で対応できるものと、対応できないものが存在します。

私たちでコントロールできないことに関しては、関係各社との連携を強め、業界の流れを変えていく努力が必要です。

ここでは、私たち平和エアテックの独自の活動で対応できるものとして、以下の3つを平和エアテックのビジョンとして紹介します。

建設業(管工事業)からサービス業へ

価格競争が激化するこの業界において、工事単体だけでは利益を生むことができず、お客様のためにもなりません。

かといって、平和エアテックが得意としない領域にまで進出することは現実的ではないでしょう。

平和エアテックでは、強みとする空調設備や、冷凍冷蔵設備や給排水衛生設備といった分野でのワンストップサービスを実現し、「空気と水の総合病院」としての地位を確立します。

そのためには、旧来の建設業(管工事業)という立ち位置・認知から、サービス業としての平和エアテックへの転換が必要であり、事業体系の変化を伴います。

技術力を生かした提案型事業の育成

建設業(管工事業)という立ち位置・認知では、お客様から「これをやってほしい」と言われなければ動くことができず、お客様自身が解決策を見出だせていない、そもそも改善すべきことに気づいていない場合に、こちらから手を差し伸べることが困難です。

サービス業としての平和エアテックへ転換するためには、「提案型事業」を育成し、これまで手を差し伸べられなかったお客様へアプローチするための素地を創造していく必要があります。

幸い、平和エアテックは地域でも有数の技術力の高さを誇っており、その技術力と経験を生かした提案型事業の育成は現実的に可能であると言えます。

具体的には、既存社員、そして来たる新入社員の教育訓練を通して、技術力と経験だけではカバーしきれない要素の補完を行っていきます。

教育訓練

「提案型事業」を実現するためには、適正な品質で工事を行うための技能レベルを高める必要性があり、また施工の品質を保つための現場管理能力やコミュニケーション能力も求められます。それだけでなく、時代の変化に対応した新しい技術分野へ対応するためにも、また会社の発展のために説明能力や提案能力を持つ社員を育てるためにも、教育訓練は欠かすことはできません。

最も重要なのは、社員の現場内での安全を確保することであり、これらを達成するため、資格取得のための教育訓練を徹底して行います。

現に、資格取得奨励制度や各種安全教育講習、技能向上訓練などを通じて社員の教育訓練には注力していますが、今後はより一層、教育訓練関連の制度強化に努め、ビジョンの達成を目指します。

参考:基盤整備センター